勤務間インターバルとは?企業側のメリット、デメリット、注意点
最終更新日 2023年1月20日
政府による「働き方改革」が進められている中で、労働時間や休息時間の管理も、企業として徹底しなければならない時代になりました。
「勤務間インターバル制度」は、労働者が一定の休息時間を確保できるように設けられた制度です。
日本ではまだ法制化されていないものの、自主的に取り入れている企業も多くなってきています。
明確な決まりはない!?勤務間インターバル制度とは?
「勤務間インターバル制度」は、労働者が勤務終了後から次の勤務を開始するまでに、一定の休息時間を確保できる制度です。
例えば、休息時間を10時間とした場合、24時に終業したら、次の勤務は10時以降にならないと開始できません。
たとえ所定の勤務時間が9時からとなっていても、10時までは休息時間として認められます。
EU諸国ではすでに義務化されているこの制度。
加盟国では最低11時間の休息時間を与える必要があります。
一方、日本では法制上の決まりではないため、企業の自主的な制度導入が基本です。
労働者の健康維持や生活時間の確保、勤労意欲の向上に効果が期待されているため、今後の導入を考えている企業も多いのではないでしょうか。
とはいえ、勤務間インターバルに関する明確な取り決めがないと、企業としてはどう取り組むべきか悩んでしまうかもしれません。
勤務間インターバル制度のメリットとデメリット
企業がこの制度を導入するメリットはさまざまです。
本来の目的である社員の健康維持や勤労意欲の増進だけでなく、企業のイメージアップにも効果があると考えられます。
労働者不足が深刻化する中、新卒や中途採用などの採用活動にも影響するかもしれません。
実際、学生や転職希望者はこの制度にも高い関心を示し、企業を選ぶ上での一つのポイントともなっています。
一方で、企業にとっては人員確保のため、勤務体制全体の見直しを迫られることになります。
特に小売りや外食産業、観光業など、お客様相手の仕事では、シフトの調整が欠かせません。
また、決算期など、業務が忙しくなる時期に、どう労働時間を調整していくかという課題もあります。
さらに、人材の不足が慢性化している介護施設や医療施設などでは、制度の導入が難しいのが現状ではないでしょうか。
導入に向けた注意点と知っておきたい政府の支援
勤務間インターバル制度の導入には、労使間の話し合いが欠かせません。
特に問題となりそうなのが、休息にあてた所定勤務時間の扱いです。
前日の就業時刻が翌日の勤務開始時刻に影響してくるため、休息時間が所定勤務時間に及んだ場合、その時間を有給とするのか無給とするのか、取り決めが必要になってきます。
このように、企業にとっては負担の大きい勤務間インターバル制度ですが、政府による支援を利用すれば少しは負担を軽減できるかもしれません。
厚生労働省は、この制度を導入する中小企業に対し、導入にかかった費用の一部を助成金として支払う支援を行っています。
労働環境を重視する人が増える中で、企業のこうした取り組みが注目を集めています。
人材の確保や社員の健康管理のためにも、制度の導入を検討する必要があるのではないでしょうか。
一般的にはまだあまり知られていない制度ですから、この問題に詳しい弁護士などに相談しながら検討されることをお勧めします。