「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」とは?企業側の注意点
最終更新日 2023年1月17日
派遣労働者や契約社員、パートタイマー、嘱託などの非正規労働者が若者世代にも増加している昨今、正社員との賃金や業務内容などの格差が広がらないよう是正が進められています。
ではフルタイムのアルバイトなど、有期契約労働者に対する雇用整備はどのような点に注意すべきでしょうか。
「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」が施行された背景
派遣社員のキャリアアップに対する措置を考慮した派遣法や、正社員との差別的取り扱いを禁止したパートタイマー労働法の改正など、派遣社員とパートタイマーに対する雇用管理は改善の動きをみせていますが、派遣社員やパートタイム労働者以外の有期契約労働者に対する雇用管理については、パート法への適用や支援措置などの対象としてなされていませんでした。
2010年に発布された「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」により、新たにフルタイムのアルバイト労働者に対する雇用管理の規定が定められ、フルタイム有期契約労働者を抱える企業にとっても該当労働者にとっても、労働に関する基準、照らすべき指針ができたことで、業務上発生するさまざまな問題が解決する糸口ができました。
ガイドラインにはどのような内容が示されているのか
「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」には、フルタイムの有期契約労働者の雇用をする上で、雇用側が留意すべき点や注意する点などが詳細に記されています。
大きく分けて
- 「採用や契約について」
- 「妊娠・出産に関して不利益な取り扱いの禁止」
- 「労働条件、就業規則の整備」
- 「正社員など通常の労働者との均衡のとれた待遇」
- 「有給や育児・介護休業の取得」
について定められており、労働基準法や契約法、職安法やパート法など各種労働における法令から適切な条文を盛り込んだ内容となっています。
正社員はもとより、法整備がなされている派遣労働者やパートタイマーと比べて法的にあいまいで、ともすれば不当な雇用環境も生み出される可能性があったアルバイト従業員の権利を示したものともいえるガイドラインです。
雇用側が留意すべきポイントとは
契約期間やその内容、就業規則と労働条件を採用時あるいは契約時に明示します。
これは雇用関係を円滑に、安定したものにする狙いがあります。
雇用側としては明示した内容を遵守し、雇用環境の整備を行う義務があります。
また、さまざまな事情で解雇をする場合にも、少なくとも30日前にその予告と理由の明示を行う必要があります。
3回以上の更新、1年を超えて継続して雇用している労働者の雇い止めも同様です。
そのほか妊娠・出産のための休業や、賃金、福利厚生など正社員など通常の労働者との均衡のとれた待遇に処するよう努めることも明示されています。
正社員や派遣・契約社員、パートタイマー、嘱託社員などと遜色なく、有期契約労働者がさまざまな条件や環境に不利益を蒙らない環境を整備することが、雇用側に望まれている最大のポイントといえます。