自営も経営者も入れる!労災保険の特別加入制度とは?導入の条件、注意点
最終更新日 2023年1月19日
自営業者や会社の経営者、役員だと労災保険に入れないと思ってはいませんか。
実は労災保険には「特別加入制度」というものがあり、条件に当てはまれば労災保険に加入することが可能なのです。
ここでは加入するための条件や注意点について見ていきましょう。
特別加入者の範囲
労災保険は本来は労働者が業務または通勤途中に、何らかの災害や事故にあった場合に保険給付が行われる制度です。
しかし、業務の実情や災害の発生状況に応じて、中小企業の事業主も特別に加入することができます。
加入の要件は一定の労働者を常時雇用している事業主と定められています。
金融・保険・不動産・小売業なら50人以下、卸売・サービス業なら100人以下、これ以外の業種であれば300人以下と決められています。
会社の代表者やその家族従事者、取締役などの役員が加入できます。
特別加入をするための手続き
中小事業主が特別加入をするためには2つの要件を満たす必要があります。
1つは雇用する労働者について保険関係が成立していることであり、2つ目は労働保険の事務処理を労働保険事業組合に委託していることです。
この2つの要件を満たした上で都道府県の労働局長の承認を受ける必要があります。
粉塵作業を行う業務などについている場合には、加入をする時に健康診断を受けなければなりません。
特別加入の申請は労働保険事業組合を通じて行い、申請日の翌日から数えて30日以内で申請者が希望する日に労働局長の承認が受けられます。
保険料と補償の対象となる部分
保険給付の日額は申請にもとづいて労働局長が決定します。
後から変更することも可能ですが、変更手続きの適用は翌年度からになります。
支払われる給付の基礎日額はたとえば日額で10,000円を受け取りたい場合は、建設事業の場合で年間54,750円の保険料の納付が必要です。
補償の対象となる範囲は業務上の災害または通勤災害を被った時に、一定の要件を満たすと給付が受けられます。
ただ同一の中小事業主が2つ以上の事業主となっている場合は、1つの事業の中小事業主として特別加入の承認を受けていても、他の事業の業務により被災した場合は保険給付を受けることができません。
通勤災害については一般の労働者と同様に取り扱われます。
住居と通勤場所との往復、就業場所から他の就業場所への移動、赴任先住所と帰省先住所との間を移動している場合などに通勤災害に遭った時に給付されます。
給付の内容としては療養するための補償、休業補償、障害補償、傷病補償、遺族補償、葬祭給付や介護給付などがあります。
ただ特別加入者の重大な過失による災害の発生や保険料の滞納期間などがある場合には、支給が制限されてしまうこともあるので注意が必要です。
もしもの時のための保険ですから、万が一に備えて経営者自身の労災保険についてもしっかりと考えておく必要があります。
労務に強い弁護士に相談するなどして、業務災害や通勤災害に備えてみましょう。