解雇は無効と争われたら?
最終更新日 2023年1月19日
従業員が解雇は無効と主張し、
- 弁護士から内容証明郵便が届いた
- 合同労組・ユニオンにかけこまれ、団体交渉申入書が届いた・・
- 労働審判を申し立てられた
- 提訴され、仮処分も申し立てられた・・
そのような急ぎのご相談をお受けすることがあります。
では、そのように「解雇は無効」と争われたらどのように対応すればいいでしょうか?
そもそも本当に「解雇」なのか?
企業側がはっきり従業員に「解雇」と言っていないのに、従業員が解雇であると主張する場合があります。
その狙いは、解雇とすることで、解雇予告手当を得ることと、失業保険を有利に受給することにあります。
しかし、従業員の退職には、解雇(企業からの一方的な解約)のほか、合意解約や従業員からの一方的な解約があります。
ですので、企業としては、本当に解雇なのかどうか、確認しましょう。
解雇であるとしても、解雇は本当に無効なのか?
かりに本当に解雇であるとしたら、次に、解雇規制をクリアしているかどうか、事実関係を調査のうえ検討しましょう。
ちなみに、解雇規制は思ったよりも厳しいものがあります。
解雇が無効であるとして、これからどうするか?
調査・検討の結果、かりに解雇が無効であるとしたら、企業としては、今後どうすればいいでしょうか?
解雇が無効であるとすると、見かけ上、従業員を解雇したつもりでも、まだ在籍している扱いになり、賃金を未払分を含め支払わなければならないことになります。
とはいえ、いったん形の上で解雇した以上、従業員との信頼関係は失われており、従業員に勤務を続けてもらっても、積極的に勤務してくれるわけはありません。
ですので、解雇が無効な場合は、結局、企業が従業員にお金を積んで自発的に退職していただくよう和解の途を探ることになります。
その際、「ブラック企業」等の風評被害を最小限に防止するため、口外禁止条項や違約金条項を盛り込んだ合意書を交わしておきましょう。
解雇が有効であるとして従業員と争うには?
調査・検討の結果、解雇が有効であることに自信があり、従業員と争うつもりの場合は、従業員が起こした手続の中で、適宜争っていく必要があります。
例えば、
・従業員が弁護士を付け内容証明郵便を送ってきた場合
→労働審判等を起こされることを覚悟のうえ、解雇は有効であると回答しましょう。
・従業員が合同労組やユニオンにかけこんで、団体交渉を申し入れてきた場合
→団体交渉に誠実に応じたうえで、解雇が有効であることを主張しつつ、解決の道を探りましょう。ただ、団体交渉などしたことがない、自分だけでは心配、という方は、弁護士を付けて交渉に臨みましょう。
・従業員が労働審判を申し立ててきた場合
→労働審判の中で、解雇の有効性を主張することになります。ただ、労働審判は、専門性が高いので、弁護士に依頼することをお勧めします。
・労働訴訟や保全の申立てを起こされた場合
→訴訟や保全手続きの中で、解雇の有効性を主張しましょう。労働訴訟などは、極めて専門性が高いので、弁護士に依頼しましょう。
解雇のことで悩んだら早目に弁護士に相談を
このように、解雇については、そもそも解雇なのか、解雇であるとして解雇が無効か、解雇が無効としてこれからどうするか、といった様々な法的問題があり、また、それらの判断のための資料を収集する必要があります。
ただ、こうしたことは、通常業務を行っている経営者にはご負担となるでしょう。
そこで、解雇のことで悩んだら、早目に労務に強い弁護士に相談しましょう。
解雇の紛争を機に労働トラブル予防を
解雇の問題があるということは、他にも労働問題が潜んでいる可能性が高いといえます。
ですので、解雇の紛争を機に、労務に強い顧問弁護士を付け、就業規則の整備、都度の相談などを通じて、将来の労働トラブルに備えることをお勧めします。