最終更新日 2024年8月28日
ご相談
X社は、元従業員Yが弁護士を付けて未払賃金に関する内容証明を送り付けてきたため、他社のご紹介により、当事務所を訪れました。
お話をお聞きすると、Yは、給料への不満を周囲に吹聴する、交通事故を起こし会社に損害を与えるなどの問題社員であることがわかりました。
また、Y側の内容証明は、要するに、未払賃金があるはずだから資料を開示せよ、というラフなものでした。
Yは、労働基準監督署にも通報しており、わずかながら明らかに未払の賃金があったので、まずはそれだけは支払うようアドバイスするとともに、本件を受任しました。
当事務所の対応
当事務所は、給料減額の合意があること、固定残業手当があることを理由に、Yの請求を拒否するとともに、賃金に関する資料をYの弁護士に送りました。
すると、Yは、X社に対し、未払賃金の支払いを求め提訴してきました。
さらに、Yは、手待ち時間が全部労働時間であるとして、訴えの追加を行い、結果、請求額は2000万円を超えるものとなりました。
これに対し、当事務所は、割増賃金の基礎となる賃金が限られること、手待ち時間は休憩時間を含み、その一部しか労働時間ではないことを、丁寧に主張立証しました。
当事務所の対応の結果
その結果、裁判所から、当方の主張をほぼ認める形で、請求額を4分の1と大幅カットする和解案の提示を受け、無事和解することができました。
X社の社長は、「自分がもっと若ければ徹底的に争うところだが」などと言いつつ、和解にほっとされる様子でした。
解決のポイント
労働関係訴訟においては、法令、裁判例が労働者保護に傾斜しているため、判決をもらうと、使用者側に過酷な結果となりがちです。
ただ、裁判所も、そうした結論が座りが悪いことは百も承知であり、書面による主張立証が尽きた段階で、尋問前に和解案の提示を行うことが多い状況です。
そこで、労働関係訴訟においては、有利な和解案の提示を受けるため、書面によるスキのない主張立証がとても重要となります。
この点、当事務所は、使用者側労働問題に関する豊富な経験から、本件においても、書面によるスキのない主張立証を行い、尋問前に有利な和解案の提示を受けることができました。
労務問題においては、使用者側は、本業が忙しいことが多く、交渉や訴訟に専念する余裕がないので、労務に強い弁護士に任せることをお勧めします。