雇止め――限界と無期転換ルールの導入
最終更新日 2024年8月28日
・会社の業績が悪くなったから、パート社員を雇止めにしよう。
・勤務成績がよくない契約社員については契約期間満了とともに更新を拒否しよう。
このような理由で、企業は有期契約労働者の雇止めを行おうと考えることもあるでしょう。
そもそも有期契約労働者は、労働力の一時的な需要に対応し、雇用調整を行う目的で採用されることが多いので、企業がこのように考えるのも当然といえます。
しかし、雇止めが当然に可能であると考えている企業は、注意が必要です!
なぜなら有期契約労働者については、近年、法改正が行われ、いわゆる「無期転換ルール」が導入されたからです。
無期転換ルールとは
平成25年4月1日より施行された改正後労働契約法18条において、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換が定められました。
これは、「無期転換ルール」と呼ばれています。
同条により、有期契約労働者が一定の要件を満たすと、労働者との間に無期労働契約が締結されることになりました。
具体的な要件は、次の通りです。
①同一の使用者との間で2以上の有期労働契約が締結されていること。
②契約を通算した期間が5年を超えること。
③労働者が、現に締結している有期労働契約の契約期間満了までの間に、無期労働契約の申し込みをすること。
①について、「同一の使用者」とは、事業主単位で考えます。
したがって、配置転換で支店を転々とした場合にも、期間は全て通算されます。
②について、育児休暇や休職などの期間も在籍期間として含まれる点に注意が必要です。
また、労契法18条2項はクーリング期間を定めています。
具体的には、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上ある場合は、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めず、次の契約が始まったところから5年のカウントが始まることになります。
企業は無期転換権の発生を迎える準備を
法施行から5年後、平成30年4月1日から無期転換権が発生します。
したがって、企業としては、無期転換権の発生より前に転換後の労働条件を新たな就業規則において定めていくことが望ましいでしょう。
例えば、無期契約になると、期間に伴う契約終了はありませんので、解雇事由を定めておく必要があります。
また、無期転換後は一定の年齢で雇用を終了するためには定年を定めておく必要もあるかもしれません。
その他、労働者が無期転換権を行使する際の具体的な手続も事前に決めておくと安心でしょう。
詳しくは、労務に強い弁護士にご相談ください。